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Hokkaido University
Center for Human Nature,
Artificial Intelligence,
and Neuroscience

2025.3.18 Release

1期生晴木祐介さん、鈴木啓介准教授らによる共著論文がCommunication Psychology誌に出版されました

CHAIN修了生(1期)の晴木祐介、CHAIN准教授の宮原克典、CHAIN兼務教員の小川健二、CHAIN准教授の鈴木啓介による、新しい論文がCommunication Psychologyに誌に出版されました。

近年、スマートフォン(スマホ)の過剰使用が、認知機能の低下や身体感覚の異常といった行動嗜癖に類似する反応を引き起こす可能性が指摘されています。今回の調査では、スマホ刺激に対する注意偏向、主観的な内受容感覚、さらには生理的反応との関連性について心理実験による検証を行いました。

本研究は、大学生58名を対象に実施され、視覚的負荷を操作した文字検出課題中に、背景としてスマートフォン画像またはスクランブル画像を提示しました。実験中、参加者の心拍応答を詳細に記録し、質問紙を用いて内受容感覚およびスマホ依存度を評価しました。反応速度に基づくクラスタリング分析の結果、スマホ刺激に対して一貫した注意偏向を示す群は、内受容感覚が低下し、スマホ依存傾向が高いことが明らかとなりました。さらに、この群ではスマホ刺激に反応して心拍が加速するなど、生理的覚醒の亢進が確認されました。

これらの結果は、スマホの過剰使用が行動嗜癖に類似した生体反応を誘発する可能性を示すとともに、現代の情報社会におけるスマートフォン利用の影響に対する新たな視点を提供するものです。

Haruki, Y., Miyahara, K., Ogawa, K., Suzuki, K. Attentional bias towards smartphone stimuli is associated with decreased interoceptive awareness and increased physiological reactivity. Commun Psychol 3, 42 (2025). https://doi.org/10.1038/s44271-025-00225-6