CHAIN Academic Seminar #5

生物学の側から見た統計学と哲学  
──統計学のための哲学と、哲学のための統計学へ向けて

講演者:大久保 祐作 (北海道大学環境科学院博士課程)

講演者紹介:2016年北海道大学農学院にて修士号(動物行動学)を取得。2019年9月北海道大学環境科学院にて博士号(生物統計学)取得。 統計の哲学にも詳しく、企業で Python ⾔語を⽤いた⼈⼯知能モデルの開発運用なども行っている。

日時:2019年9月26日(木)16:30-18:00
場所:北海道大学人文・社会科学総合教育研究棟(W棟)W309室
言語:日本語

要旨:
生物学や神経科学において、統計学は実験結果や観察データを ”客観的に”分析するために不可欠である。しかし近年、研究者の間では「データをどのように分析するべきか」等をめぐり多くの議論が生じている。こうした議論は研究結果の解釈を左右する問題であり、現場の統計学者や科学者だけでなく科学研究の成果に関心を持つ哲学者たちにも大きな影響があると考えられる。しかしながらこうした議論にはテクニカルな話題も多く、データの分析に従事する機会の少ない哲学者にはわかりづらい面もあるものと考えられる。そこで本発表では、最近の統計的データ分析や統計学の哲学で何が問題となりうるか、その一部を紹介する。まず発表者が関わってきた生物学における事例から、実際の科学で統計的データ分析がどのように活用されてきたか簡単に紹介する。次いで、統計学における頻度主義とベイズ主義の違いについて確認し、それぞれの立場に哲学者たちがどのような批判を展開してきたかを振り返る。最後に最近の機械学習技術の発展を踏まえ、近年のデータ分析には既存の「頻度主義VSベイズ主義」という二項対立では捉えることのできない問題が生じていることを指摘し、発表者の最近の取り組み等を紹介する。また既存の哲学では十分に論じ切れていない論点を紹介し、今後の方向性について議論したい。