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Hokkaido University
Center for Human Nature,
Artificial Intelligence,
and Neuroscience

CHAIN ACADEMIC SEMINAR #50

第50回CHAIN Seminar 松田英子「子どもの現象学―共感覚、想像の友達、懐かしさ」

日時 2025年3月28日(金)16:00-17:30
場所 オンライン
言語 日本語
主催 人間知・脳・AI研究教育センター(CHAIN)
開催方法 オンライン(要登録)

今回のCHAINセミナーでは、慶應義塾大学の松田英子先生をお招きします。

松田先生は、人工生命・複雑系科学の研究で東京大学にて博士課程を修了され、その後は、共感覚をテーマに精力的に研究を進めておられます。

「文字や数字に色がついて見える」「布やガラスの手触りが特定の感情を引き起こす」などの共感覚は、一部の人々にのみ見られる特異な意識体験とされ、意識の科学や現象学において重要な研究対象です。松田先生は、共感覚を特定の人に限定された特殊な経験とするのではなく、誰もがその素養を持つ「スペクトラム」として捉える立場を取っています。

今回の講演では、共感覚と子どものファンタジーとの関係に焦点を当て、その考え方について詳しくお話しいただく予定です。

Seminar1

Lecturer

松田英子
MATSUDA Eiko

子どもの現象学―共感覚、想像の友達、懐かしさ

Abstract:

同じものを見ているはずのあなたの隣りにいる人は、本当に同じ世界を見ているのでしょうか。「数字の ‘5’ は青色のお兄さん」「ハーモニカの音は光ったリボン」など、ある感覚刺激が思いもよらない印象を引き起こす、共感覚という現象が知られています。「実数の集合は緑色のホースだけれど、有理数の集合は細くて赤い紐だ」など、数学者は数字や数学の概念に対して独自の内観を持つことが明らかになってきました。そして子どもは時として、ぬいぐるみと友達になり、サンタクロースを信じ、自分だけがわかる想像の友達を作り出すことがあります。これら独自な内観は、これまで科学研究の俎上に乗りにくいものでしたが、近年では方法論の確立とともに、徐々に研究の対象にされてきました。このトークでは、行動実験に基礎を置きながら、特に子どもの数字・文字についての現象学に着目し、抽象的な概念の理解に関わる、内観の個人差についてお話しします。

講師紹介

東京都生まれ。学術博士。慶應義塾大学理工学部専任講師。専門は複雑系の物理学、人工生命。東京大学教養学部広域 科学科卒業後、同大学院総合文化研究科博士課程修了。英国サセックス大学客員研究員、東京大学情報学環などを経て、2024年より現職。現在は共感覚や子どものファンタジーについて研究している。いままでに読んで感動した論文は「From pre-representational cognition to language」。