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Hokkaido University
Center for Human Nature,
Artificial Intelligence,
and Neuroscience

CHAIN ACADEMIC SEMINAR #42

第42回CHAIN Seminar 荒谷大輔「贈与経済2.0のロジック」

日時 7月22日(月)16:30-18:00
場所 オンライン(Zoom)
言語 日本語
主催 人間知・脳・AI研究教育センター(CHAIN)
開催方法 Zoomによるオンライン開催(要登録)

第42回CHAINセミナーは、慶應義塾大学教授の荒谷大輔氏にご講演頂きます。

荒谷氏は、2024年4月に『贈与経済2.0:お金を稼がなくても生きていける世界で暮らす』(翔泳社)を上梓しました。同書は、一方で資本主義経済の構造を、他方で理想の人間社会を作ろうとする社会変革的な試みの本質的な問題点を深く探ってきた荒谷氏の歴史的研究のエッセンスを明快に提示した上で、ブロックチェーンの技術を用いた新しい贈与経済の仕組み、すなわち「贈与経済2.0」を提案しています。この試みに関心をもつ多くの人を巻き込みながら、すでに2箇所での実証実験も開始しており、同書の発売後さっそく各所で話題になっています。

今回は、「贈与経済2.0」の中核にある「ロジック」について、考案者自らの言葉で語っていただきます。ご関心をお持ちの方は、ぜひご参加ください。

参加を希望される方は、下の登録ボタンからZOOM登録をお願いいたします。

Seminar1

Lecturer

荒谷大輔
Daisuke ARAYA

贈与経済2.0のロジック

Abstract:

講演要旨:「前近代的」と⾒なされる贈与経済に、計算可能な固有の論理があったことはよく知られている。贈与によって獲得され
る社会的⽴場の優越は、かつての「ムラ社会」で、あるいは「⽇本型経営」と呼ばれるような企業形態の中で、贈与のインセンティブとなっていた。それはしかし、関係への束縛を経済として機能させるものであり、本質的に「不⾃由」を発⽣させるものだった。従来型の贈与経済を別なかたちで設計して「⾃由」なものにすることはできないのか。贈与経済2.0というべきシステムの論理を提案したい。

講師紹介

慶應義塾大学文学部教授、江戸川大学名誉教授。専門は哲学/倫理学。江戸川大学社会学部教授などを経て現職。近現代フランスの倫理思想について研究しながら、現代社会におけるその実践可能性を探るとともに、精神分析を、哲学/倫理学の歴史的文脈に位置づけながら、哲学/倫理学の実践可能性を探る研究を行ってきた。『ラカンの哲学:哲学の実践としての精神分析』(講談社、2018)をはじめとするラカン論のほか、『「経済」の哲学:ナルシスの危機を越えて』(せりか書房、2013)、『資本主義に出口はあるか』(講談社、2019)など、人間の経済的営みを論じた一連の研究がある。その成果の上に新たな実践を開始する書物として、2024年に『贈与経済2.0:お金を稼がなくても生きていける世界で暮らす』(翔泳社)を上梓した。