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Hokkaido University
Center for Human Nature,
Artificial Intelligence,
and Neuroscience

2024 CHAIN Summer School

2024年度 CHAINサマースクール:「身体性とリハビリテーション」

日 時 2024年8月26日-8月30日
場 所 北海道大学 人文・社会科学総合教育研究棟 W202およびW201
言 語 日本語
対 象 北海道大学でCHAINを履修している大学院生

CHAINでは「意識・自己・社会性・合理性」といったテーマに対して哲学・神経科学・AI研究の融合した学際的教育プログラムを北大の大学院生に向けて提供しています。その中で夏と冬に開催されるサマースクール・ウインタースクールでは外部講師をお招きし、受講生に最先端の知見に触れ、学際的議論を行う場を提供しています。

 

2024年度のサマースクールはテーマを「身体性とリハビリテーション」と題して、以下の先生方をお呼びして、講義・議論を行います。(敬称略)

  • 特別講演: 宮本 省三 (高知医療学院学院長)
  • 講師1: 河島 則天 (国立障害者リハビリテーションセンター研究所 運動機能系障害研究部 神経筋機能障害研究室長)
  • 講師2: 温 文 (立教大学現代心理学部准教授)

本サマースクールの一部は富士通北大リサーチラボ部門の活動の一環として行われます。

宮本 省三先生は国内で認知神経リハビリテーションを先導してきた方です。「脳のなかの身体」(講談社現代新書)など著書多数。「リハビリテーション身体論」などの著書ではメルロ=ポンティやヴァレラに言及し、臨床と哲学とを繋ぐ議論が行われています。今回の特別講演は2回に分けて開催されます。

河島 則天先生は国リハにおいて障害や症状の発現メカニズム解明を目的とした基礎研究だけでなく、リハビリ機器の開発、ものづくりに関わるとともに、パラリンピック出場選手のサポートにも関わっています。

温 文先生は主体性についての研究で大きな成果をあげてその内容はNature Reviews Psychologyの総説などでまとめられてます。
2023年より立教大学のPIとなり、ムーンショットでは身体的共創Gに参与しておられます。

Seminar1

Lecturer

宮本 省三
Shozo Miyamoto

特別講演1: 身体として存在する私 -身体存在感の喪失、身体意識の変容、身体認知の崩壊

Abstract:

 私は身体として存在する。一体、どこに存在するのか。「ここ」に存在している。それは自明なことである。だが、「ここ」とはどこか。世界の「どこ」のことなのか。私は世界内存在である。だから、世界の「どこ」かにいる。それでも私はいつも「ここ」にいる。「ここ」とは世界の中心であり、私の身体が存在している場所である。
 しかし、ここで一瞬立ち止まって考えたいのは、「私は身体として存在する」という時、「私は身体の存在を感じている」という点である。その「存在感(プレゼンス)」を「身体存在感」と呼びたい。つまり、何も感じられない身体は「ここ」に存在しないということだ。だとすれば、「身体存在感」によって「私は身体として存在する」と言える。
 ここで、もう一つ問いを投げ掛けよう。「身体存在感は、一体、どこに存在するのか?」。ベイトソン流に言うと、存在とは「差異(関係)」である。差異がなければ他の存在と区別できない。だが、差異はこの世界の物理的な時空間のどこにも位置づけなれない。なぜなら、差異は「意識の産物」、あるいは「脳の果実」に過ぎないからである。だから、VR(バーチャルリアリティ)の世界でも身体存在感は生まれる。
 また、「身体存在感」は人間の進化に根ざした神経心理的な現象である。その目的は「行為を生きる(主体の意志を実現する)」ためである。行為における「意図を実現する直感的知覚の想起」のために、未来を「予測する脳」が行為の成功確率を高めるために、予測と結果の一致と不一致を確認するために、身体存在感は存在する。
 リハビリテーションの臨床には、「身体として存在する私」の変容に苦悩する患者たちが大勢いる。ある患者が自分の「麻痺した身体」を「”死んだ肉”のように感じる」と言ったことがある。本講演では、脳卒中片麻痺や高次脳機能障害を来した症例の「身体存在感の喪失」、「身体意識の変容」、「身体認知の崩壊」などについて映像や言葉で紹介しながら、身体性のリハビリテーションの重要性を提起する。
 身体性のリハビリテーションは、「身体として存在する私」の回復を目指す「神経現象学的アプローチ」である。神経学はニューロン、すなわち脳科学や生物学や工学を意味する。客観的な三人称の世界を意味する。現象学は生きる経験、すなわち哲学や心理学や芸術や文学を意味する。主観的な一人称の意識経験の世界を意味する。
 バレラは、新しい時代の学問は「科学と経験がダンスを踊る」ものでなければならないと言っている。21世紀の身体性のリハビリテーションは神経現象学的アプローチの時代になるだろう。そのためのテーゼは「世界に意味を与える身体(ペルフェッティ)」である。

講師紹介

宮本 省三 (高知医療学院学院長)
1981年高知医療学院卒業。理学療法士。現在、高知医療学院学院長。日本認知神経リハビリテーション学会会長。専門は片麻痺と高次脳機能障害のリハビリテーション。著書に『リハビリテーション・ルネサンス(春秋社)』、『リハビリテーション身体論(青土社)』、『脳のなかの身体(講談社新書)』、『認知運動療法』、『片麻痺』、『人間の運動学』、『体幹』、『恋する塵』、『カルロ=ペルフェッティ:対話は続く』(協同医書)など。

Seminar2

Lecturer

宮本 省三
Shozo Miyamoto

特別講演2: “脳のなかの身体”のリハビリテーション -認知神経リハビリテーションの旅

Abstract:

 ペンフィールドの”ホムンクルス”は「脳のなかの小人」と呼ばれる。これは大脳皮質の第一次運動野と第一次感覚野におけるニューロン・レベルの「身体部位再現」である。つまり、「身体表象(body representation)」であり、それを”脳のなかの身体”と呼ぶ。だが、一体、身体の何が表象されているのか。表象(representation)とは代理、再現、表現であり、それは「あるものの代わりにある何か」である。運動野が筋再現か運動再現かの論争は続いている。感覚野には体性感覚(触覚、温覚、痛覚、圧覚、運動覚、プロプリオセプション)が求心性(上行性)に入力しているが、感覚野から遠心性(下行性)に出力するニューロン活動も発見されている。また、どちらの”脳のなかの身体”も「手、口、足」が大きいのが特徴である。だからホムンクルスの姿はデフォルメされて描かれている。「身体と環境の相互作用」において、「手、口、足」は物体と相互作用する頻度が圧倒的に高い。また、手が物体を握る時、手掌は見えない。口の中で食物を感じる時、口の中は見えない。立位や歩行の時、地面と接する足裏は見えない。この見えない身体部位を運動したり感覚するには精密なニューロンの組織化が必要になる。その運動と感覚の情報性に基づく進化圧がデフォルメされたホムンクルスの姿をつくったと考えられる。
 脳卒中後の片麻痺では、運動野から脊髄に至る遠心路(錐体路)と脊髄から感覚野に至る求心路(脊髄視床路と後索路)が損傷されて、運動麻痺や感覚麻痺が発生する。その回復には運動野と感覚野の再組織化が必要である。
 しかしながら、行為や認知は運動野と感覚野だけでは生じない。より高次な「大脳皮質連合野」の機能が必要である。頭頂葉連合野には「物体の知覚」や「どこの空間」の認知機能がある。側頭葉連合野には「物体の言語化」や「何の空間」の認知機能がある。前頭葉連合野には「運動プログラム(運動イメージ)」、「言語」、「思考」などの認知機能がある。また、脳の深部には感情や記憶や本能を司る領域もあるし、大脳基底核や小脳は姿勢や運動の調節と協調性を担っている。それらの複数の機能が統合されて身体空間、身体周辺空間、外部空間が認知され、目的ある行為が生まれ、運動スキルを学習し、他者とのコミュニケーションもできるようになる。つまり、大脳皮質連合野は情報に「意味」を与えている。
 脳卒中では大脳皮質連合野に損傷が及ぶことも多い。高次脳機能障害としての認知症、失語症、失行症、失認症(半側空間無視)が発生する。また、子どもの発達障害も高次脳機能障害である。その場合、「視覚」-「体性感覚」-「言語(聴覚)」の「異種感覚情報変換」が必要である。見た何か、触れた何か、聞いた何かは異なるが、それが同じ「リンゴ」を意味していることを理解する必要がある。
 ギブソンは「運動するためには知覚しなければならないが、知覚するためには運動しなければならない」と言っている。バレラは「行為は認知であり、認知は行為である」と言っている。運動野や感覚野のレベルでも、大脳皮質連合野のレベルでも、運動と知覚を、行為と認知を「結びつける(バインディング)」必要がある。「多感覚のバインディング(空間の位相)」と「意図(予測)と結果のバインディング(時間の位相)」によって脳の機能は回復してゆく。
 従来のリハビリテーション(運動療法)では、「麻痺した身体」で行為する練習を行う。日常生活動作や歩行の反復練習である。一方、認知神経リハビリテーションでは、「麻痺した身体」で行為を創発する(生み出す)ために、行為の認知過程(知覚、注意、記憶、判断、言語)を再組織化する練習を行う。たとえば、閉眼し、手で物体の形を識別(探索)する「認知問題(空間問題と接触問題)」への解答を求める。
ペルフェッティは「あらゆる回復は病的状態からの学習である」と言っている。行為の学習には行為する練習の前に、行為を生み出す認知的な「準備状態(レディネス)」をつくることが不可欠である。たとえば、運動を実行する前に、運動イメージを想起できることが重要である。それは学生が幸福な人生を旅するために、学校で勉強していることに似ている。
 認知神経リハビリテーションの旅は困難な旅である。しかし、「リハビリテーションに奇跡はないが、進歩はある」と信じている。

講師紹介

宮本 省三 (高知医療学院学院長)
1981年高知医療学院卒業。理学療法士。現在、高知医療学院学院長。日本認知神経リハビリテーション学会会長。専門は片麻痺と高次脳機能障害のリハビリテーション。著書に『リハビリテーション・ルネサンス(春秋社)』、『リハビリテーション身体論(青土社)』、『脳のなかの身体(講談社新書)』、『認知運動療法』、『片麻痺』、『人間の運動学』、『体幹』、『恋する塵』、『カルロ=ペルフェッティ:対話は続く』(協同医書)など。

Seminar3

Lecturer

河島 則天
Noritaka Kawashima

講義1: 身体性とリハビリテーション

Abstract:

 “コップに手を伸ばす。サイズにあわせて適度に指を開き、指先の接触で得た感覚を手掛かりに表面形状や摩擦にあわせてコップを掴み、持ち上げる。なみなみ注がれたビールをこぼさないように注意しながら口元にコップを近づけてゆき、コップの角度を次第に傾けながら、ビールを飲む。飲みほしたところ、目の前では次の一杯を勧める同僚の姿が目に入ったので、空のコップを相手側にやや傾けながら差し出す。ビールが注がれることで変化する重さは過去の経験から予測可能であるから、何ら意識せずともただただ注がれるのを待ち、また口元にコップを運ぶ。”
 わたしたちが何気なく行っている日常動作は、実は精緻複雑な制御を内包している。ヒトの巧みな動作やその神経基盤を理解するには数回の講義ではとても網羅しきれない膨大な知識や理解が必要だが、本講義では、身体の〈ある部位〉に障害が起きた際のふるまいを観察することで還元的に〈その部位〉の機能を知る、という視点を共有する。ヒトの身体動作(行動・事象)の観察と評価をもとに既知の理論をあてはめ、脳あるいは身体に何が起きているのかを知ろうとするプロセスは、実は医療・リハビリテーションにおける評価そのものであるから、手始めとして、冒頭に記した動作を成立させる運動制御基盤について、「うまくものが掴めない患者」の事象紹介を交え、背景理論を紹介しながら概説を試みる。
 表題の身体性という言葉はいわゆる「身体にまつわる事象」を括る表現なのだろうが、身体機能の改善や維持・調整を図るプロセスであるリハビリテーションについて語る上では非常に都合の良い表現である。本講義では、私がこれまでに見てきた複数患者の〈不思議なふるまい〉を共有し、その患者の障害を来す原因部位とその機能への照合により、身体運動の背景基盤を理解するための糸口を探る。本講義を通してリハビリテーションという世界に触れ、ヒトの行為やふるまいにまつわる不思議に触れてもらうことで、身体性という概念の理解に繋げることが本講義の目指すところである。

講師紹介

河島則天(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 運動機能系障害研究部 神経筋機能障害研究室長)
金沢大学大学院教育学研究科修士課程を修了後、2000年より国立リハビリテーションセンターを拠点に研究活動を開始。芝浦工業大学先端工学研究機構助手を経て、2005年に論文博士を取得後、カナダ・トロントリハビリテーション研究所へ留学。2007年に帰国後は国立リハにて研究活動を再開。計測自動制御学会学術奨励賞、バリアフリーシステム開発財団奨励賞など受賞。医療リハビリテーション領域での新規技術開発に注力し、脊髄損傷者用長下肢装具C-FREX、対向3指電動義手Finch、立位姿勢調整装置BASYSをはじめ、さまざまなリ開発研究を進めている。

Seminar4

Lecturer

河島 則天
Noritaka Kawashima

講義2: 失われた身体の再構築

Abstract:

 ひとたび障害や疾病により身体機能に損失や停滞が生じると、身体の動作やふるまい、認識に様々な不調和が生じる。再び機能や動作の獲得を目指すリハビリテーションのプロセスでは、「身体性」にどのような変容が生じるのであろうか?
 本講義では、身体の損失にまつわる変容プロセスのモチーフとして「幻肢」をとりあげる。幻肢とは、体肢切断後もなお、失った体肢の存在をありありと感じ、身体の一部であるかのように動作が可能な状態を指す。この事象を取り上げる理由は、身体認識の重要な概念である「身体所有感(sense of ownership)」、「運動主体感/行為主体感(sense of agency)」を理解するための良き事例であると考えたためである。損失した身体部位の認識に齟齬が生じると、存在しないその部位の痛み、「幻肢痛」が発現する。この発現機序に関する考察、およびこれを改善させるための具体的方策に関する論理構築は、自己身体および行為の認識について理解する上で極めて重要な視点を与えるだろう。
 表題の「再構築」という意図を伝えるために、ここでは不可避に生じた身体の障害をいかなる形で克服・変容させていくか、という側面に重点を充てて考察していく。具体的な症例提示にて幻肢にまつわる不思議な事象を供覧するとともに、身体の認識や変容、脳内基盤を知る手がかりとして実施してきた諸計測のデータに触れながら、失われた身体の再構築をいかに合目的的かつ効果的に実現していける可能性があるのかを考察する。

講師紹介

河島則天(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 運動機能系障害研究部 神経筋機能障害研究室長)
金沢大学大学院教育学研究科修士課程を修了後、2000年より国立リハビリテーションセンターを拠点に研究活動を開始。芝浦工業大学先端工学研究機構助手を経て、2005年に論文博士を取得後、カナダ・トロントリハビリテーション研究所へ留学。2007年に帰国後は国立リハにて研究活動を再開。計測自動制御学会学術奨励賞、バリアフリーシステム開発財団奨励賞など受賞。医療リハビリテーション領域での新規技術開発に注力し、脊髄損傷者用長下肢装具C-FREX、対向3指電動義手Finch、立位姿勢調整装置BASYSをはじめ、さまざまなリ開発研究を進めている。

Seminar5

Lecturer

温 文
Wen Wen

講義3: 身体意識の基礎

Abstract:

 本授業では、身体意識の概念とその重要性について学びます。身体意識には、自分の意思で行動を制御しているという運動主体感や、自分の身体を所有している身体所有感などが含まれます。これらの感覚は人間の知覚、運動制御、意思決定などにおいて重要な役割を果たしています。
 初めに、身体意識の基本的な定義とその背景を理解することから始めます。私たちは身体意識のことについて、普段は気にすることがあまりないが、実はこの感覚は複雑な神経基盤によって成立しています。なぜ自分では自分をくすぐることができなのか、それは予測の機能が働いて、特に注意を配らなくても、ヒトは自己と他者を区別することができます。自分がしゃべっている声が遅れてフィードバックされると、発話の流暢性が低下することがあります。感覚運動フィードバックが運動制御に与える影響を示しています。また、スポーツ選手が自分の体の動きを正確に把握し、それに基づいて瞬時に判断を下す能力の背後に、身体意識が重要な役割を果たしています。
 さらに、脳損傷は精神疾患によって、身体意識の失調について紹介していきます。例えば、統合失調症の患者では、自分で自分をくすぐることができます。これは感覚フィードバックに対する予測機能に失調が生じ、様々な症状に繋がると考えられます。また、脳の一部が損傷することによって、一見正常である肢体の一部に対する所有感が失われるエイリアンハンド症候群という障害もあります。身体所有感が成立する神経基盤の損傷が起因です。様々な障害から、脳と身体の関連、そして行動と身体意識での表出を学んでいきます。
 この授業を通じて、受講生は身体意識の基本概念を理解し、日常生活や専門分野での応用に対する洞察を深めることを目指します。

講師紹介

温 文 (立教大学現代心理学部准教授)
2012年東京大学大学院人文社会系研究科心理学専攻博士課程修了,博士(心理学).慶応義塾大学博士研究員,東京大学特任研究員,University College London訪問研究員,東京大学工学系研究科特任准教授を経て,2023年より立教大学現代心理学部准教授.認知神経科学,ヒューマン・マシン・インタラクションの研究に従事.

Seminar6

Lecturer

温 文
Wen Wen

講義4: 身体意識に着目したリハビリ

Abstract:

 本授業では、身体意識に焦点を当てたリハビリテーションの重要性とその実際の方法について学びます。
 まず、身体意識がリハビリテーションにおいてどのように関与するのかを理解するために、基本的な理論と概念を復習します。身体意識が失われると、日常生活における動作や行動が困難になることがあります。例えば、脳卒中後の患者が自身の片側の身体を認識できない「片側空間無視」は、身体意識の障害の一例です。
 次に、身体意識を改善するためのリハビリテーションの具体的な方法について学びます。ここでは、実際のリハビリテーションの現場で使用される技術や手法を紹介します。例えば、ミラーセラピーは、自分の健側の手足を鏡に映して見ることで、患側の手足が動いているように感じさせ、身体意識を再構築する方法です。また、バーチャルリアリティ(VR)を用いたリハビリも、身体意識を高める新しい方法として注目されています。
 さらに、身体意識を内的な報酬として、リハビリのモチベーションを維持するアプローチを紹介します。脳卒中などの障害によって、身体に対する制御能力が低いと、リハビリに長時間に取り組むモチベーションが低下しやすいです。感覚フィードバックに対して介入することによって、実際のパフォーマンスよりも少し良い結果をフィードバックすることによって、身体意識を向上させ、リハビリの効果を高めることができます。最後に、身体意識を計測することで、リハビリの効果を評価する研究を紹介します。リハビリにおいて、運動能力の回復だけでなく、身体意識の向上の重要性を理解してもらいます。
 この授業を通じて、受講生は身体意識の重要性を深く理解し、リハビリテーションにおける実践的な応用方法を習得することが期待されます。

講師紹介

温 文 (立教大学現代心理学部准教授)
2012年東京大学大学院人文社会系研究科心理学専攻博士課程修了,博士(心理学).慶応義塾大学博士研究員,東京大学特任研究員,University College London訪問研究員,東京大学工学系研究科特任准教授を経て,2023年より立教大学現代心理学部准教授.認知神経科学,ヒューマン・マシン・インタラクションの研究に従事.