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Hokkaido University
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CHAIN セミナー 「センター教員就任記念シリーズ」第1回

日時 2020年7月21日(火)14:45-16:15

宮原克典(CHAIN 特任講師)
「身体性認知と人間知:身体や環境を重視することの哲学的帰結」

要旨 近年,心の科学や哲学の分野では,「身体性認知」や「状況づけられた認知」などの題目のもとで,認知や行為における身体や環境の役割を重視する言説が多くみられる。しかし,「身体や環境の役割を重視する」というのが,どのような帰結をもった態度であるのかは,必ずしも明らかではないかもしれない。本発表では,心や認知の身体性や状況性の意義に関して,私のこれまでの研究を支えてきた基本的な考え方を紹介したのちに,それをふまえて,これからCHAINで考えていきたい問題を共有したい。私は,身体性認知や状況づけられた認知において問題となっているのは,まったく異なる二つの人間観の対立だと考えている。一方にあるのは,私たちは「頭の中」で認知や経験を生み出す存在だとして,心にかんする「個人主義」「内在主義」「主知主義」「表象主義」と結びついた人間観である。他方で,私たちは世界のなかで認知や経験をおこなう存在だとして,心の「状況性」「身体性」「拡張性」をとなえる人間観がある。本発表では,この二つの人間観の対立を一般的に特徴づけたのちに,これが「共感」「主体性」「意識」というテーマにかんして,どのような含意をもつかを検討する。