News
2021.3.25 Release
島崎特任准教授が京都大学MACS教育プログラム主催の「データ駆動生物学ワークショップ」で招待講演を行いました.
講演タイトル
非定常・非平衡イジングモデルによる神経細胞集団活動の解明
講演要旨
本講演ではイジングモデルを用いた神経活動の解析の現状と将来展望を紹介する.脳の神経細胞はネットワークを形成し,スパイクと呼ばれるイベントを介して外界の情報や行動を符号化している.イジングモデルはイベントによって相互作用する要素からなるシステムを記述するコンパクトなモデルで,統計学・機械学習・統計物理学における標準的なモデルとして広く使用されている.このモデルで神経活動を記述することで,神経系の計算を機械や物理現象による計算と同じ枠組みで記述し,統一的に理解することが容易になる.神経科学における応用上重要なのは,データからモデルのパラメータを推定する「逆イジング問題」とその手法である.これまでに逆イジング問題を解くことで培養神経細胞や麻酔下の動物の集団活動が調べられてきた.しかし,これらは系の定常性と結合の対称性を仮定する平衡イジングモデルを用いており,覚醒・行動下で記録されたダイナミックに変動する神経活動を記述する事ができない.本講演では,我々が10年以上に渡って開発してきた状態空間法を用いたイジングモデルよる動的な集団活動の解析環境[1,2]を紹介し,最近の非平衡系への取り組み[3]を紹介する.
言語:日本語