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2021.1.21 Release
島崎特任准教授が日本視覚学会2021年冬季大会の企画セッション「視覚・脳科学への計算論的アプローチの最前線」で招待講演を行い、脳の理論を概説しました.
講演タイトル
脳への計算論的アプローチ概説: 視覚野の理論を中心に
講演要旨
本講演では脳の計算論の発展の歴史を回路・情報・原理の3つの視点から紹介する。脳の回路と情報表現に対する理解は、高い変動性を示す神経スパイク活動を実現する回路・その制約下での情報処理、これら双方の解明を目指す過去20年の試みの中で深化してきた。その結果発見された興奮ー抑制の均衡ネットワークや我々の認識を制限する冗長な情報表現を紹介し、現在の大規模計測技術による検証を紹介する。脳の原理的記述には効率的符号化仮説・情報量最大化原理・スパース符号化等のさらに古い歴史があるが、現在では外界のモデル(生成モデル)が脳に構築されるとするベイズ脳仮説に基づく記述に集約されつつある。近年この理論は、環境に対する働きかけを推論の枠組みに取り入れ、認識と行動の一体的理解を目指す「自由エネルギー原理」に拡張され、統一的な視点から回路・情報そして学習を見直す動きが広がっている。講演では現在に至る背景を紹介する。