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Hokkaido University
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2022.12.8 Release

田口センター長が中山大学(中国、広州)で招待講演

田口センター長が中山大学(中国、広州)で招待講演します。(9月から延期になっていたものです。)

言語は日本語です。

タイトル:「田辺元の「媒介」概念とそのインパクト」
2022年12月15日(木)16:00-18:00(日本時間)
オンライン
参加するにはテンセントのオンライン会議アプリをダウンロードする必要があります。
テンセント会議ID:292-612-686
パスワード:1215

要旨

京都学派の哲学者であり、西田幾多郎の後継者・批判者である田辺元は、生涯にわたって独自の「媒介」概念を彫琢し、彼の哲学の随所で活用している。田辺は「一切は媒介されている」という絶対媒介の立場をとる。その「媒介」概念は、「切ることによって繋ぐ」という言葉で特徴づけられている。切れていること=断絶もまた媒介の一種である。それゆえ、田辺の言う「媒介」は、一切を吸収する同一性の思想を表現するものではなく、媒介される個の自立性、いいかえれば個と個の絶対的差異を不可欠の契機とする関係を意味する。このような田辺の「媒介」概念は、差異と分断に満ちた現実を分析するツールとなりうる。それは、差異や分断があるところで、思考を停止させることなく、分析的思考を駆動する機能を果たしうる。たとえば「他者」や「意識」の問題は、しばしば思考を空回りさせる困難を伴っているが、「媒介」に着目するなら、「分断」は分析可能な「つながり」に転換される。また、田辺の「媒介」概念は、政治的・文化的・宗教的対立に関しても、差異を均した統一ではなく、対立が対立のままで媒介であるような観点を開くことで、ある種のインパクトをもちうるだろう。